アートプロジェクト 肘折温泉と東北芸術工科大学が織り成すコラボレーション。さまざまな出来事や風景をレポートします。

『肘折まるごと美術館プロジェクト』

肘折温泉では、開湯1200年を迎えた2007年夏から「伝統ある湯治場の魅力を100年後の子どもたちに継承する」ために、温泉文化と創作活動の融合による“現代版・湯治”の創出を目指す『肘折まるごと美術館プロジェクト』に取り組んでいます。里山の恩恵、失われつつある土着の風土、それらを芸術的経験として昇華させてくれる稀少な場としての「肘折」。いま、芸術家や文学者たちが癒しとは少し違った意味合いでこの地に惹かれはじめています。

お問い合わせ/東北芸術工科大学美術館大学構想室
〒990-9530 山形市上桜田三丁目4番5号 TEL=023-627-2043
www.tuad.ac.jp/museum

肘折温泉逗留芸術家2008

肘折温泉逗留芸術家2008

『肘折まるごと美術館プロジェクト』の一環として今秋、旧郵便局舎を改造したギャラリースペースを拠点に、湯治場の逗留スタイルを活かした3つのアート・イベントが実施されました。2人の若手アーティストが肘折温泉に住み込み、2ヶ月の滞在制作(アーティスト・イン・レジデンス)に挑み、滞在期間中には報告展も開催。さらに、山形各地の景勝地やアジアの辺境を画題とする日本画家・番場三雄氏が、肘折の風景を含む素描による展覧会を開催したほか、東北芸術工科大学関係者による講演会もおこなわれました。

会期:2008年10月1日[水]-12月7日[日]
会場:ギャラリーひじおりの灯(旧郵便局舎)
開廊時間:10:00−16:00
休廊日:火曜日
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2008年版「ひじおりの灯」の設置と点灯

2008年版「ひじおりの灯」の設置と点灯

2007年度から開湯祭期間に併せて温泉宿軒先に学生が作画した灯籠をともす「ひじおりの灯」が開催されていますが、今年は、昨年よりも8基多い、合計31基の灯篭が温泉旅館に加えて商店や共同浴場にも設置されました。灯籠絵は、東北芸術工科大学大学院洋画・日本画コース有志と卒業生が、昨年同様、6月に肘折地区で合宿をおこなって画題を探し、岩彩、アクリル、銅版画やシルクスクリーンなど、多彩な技法を用いて制作したものです。また、2007年に描かれた灯籠絵は新たに額装しなおして旧郵便局舎に常設展示されました。毎年の張り替えによって地区に収められる灯籠絵により、肘折温泉の「美術館化」が緩やかに進んでいくことになります。

点灯期間=2008年7月13日[日]−8月20日[水](18:30−20:00)
会場=肘折温泉地区(温泉街通り)
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共同浴場“上の湯”に「肘折媒染」を設置

共同浴場“上の湯”に「肘折媒染」を設置

共同浴場“上の湯”に「肘折媒染」を設置

共同浴場「上の湯」の内壁に、芸工大テキスタイル学科学生による壁画およびオブジェが設置されました。内壁の装飾では地元の手漉き和紙・月山和紙を使用。肘折地区の温泉で媒染した生糸や、採取した植物などを和紙に漉きあわせたものを貼り込んだほか、タモ材の枠に糸をはり巡らし、紙の繊維が溶解した「舟」に浸した紙の「オブジェ」を、壁紙の上にランダムに配置しました。肘折の温泉水が含有する酸化鉄の色彩や、肘折特有の植生、地下の分水パイプを流れる湯のイメージを造形化した作品『肘折媒染』は、今後、約2年間隔でテキスタイル学科生による張り替えがおこなわれる予定です。

公開期間=2008年7月より恒久設置
設置場所=共同浴場「上の湯」ファサード内壁
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トークリレー「肘折絵語り・夜語り」を温泉街で開催

トークリレー「肘折絵語り・夜語り」を温泉街で開催

トークリレー「肘折絵語り・夜語り」を温泉街で開催

肘折温泉の「開湯祭」の翌・7月14日夜に、31基の灯籠絵制作者全員が肘折を再訪、自作の灯籠の灯りの下で作品解説をおこなうトークイベント『肘折絵語り・夜語り』がおこなわれました。肘折の街並みや動植物、温泉客、浴衣の柄、周辺の景観や、民話や地蔵といった具体的なモチーフを描いたものから人々の「絆」や街中を流れる水路の「音」を抽象的に表現した作品まで、多彩を極めた灯籠『ひじおりの灯』。浴衣姿の湯治客や地域住民からたくさん質問が寄せられました。

開催日時=2008年7月14日[月]18:00−21:00
会場=肘折温泉街(18:00に「上の湯」を出発)
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ギャラリー&バーと移動カフェが期間限定オープン

ギャラリー&バーと移動カフェが期間限定オープン

ギャラリー&バーと移動カフェが期間限定オープン

肘折温泉街の夜ははやい。そのため夜に点灯する『ひじおりの灯』の時間帯にあわせて、温泉街の中心にある旧郵便局舎が、灯籠鑑賞の起点として開放されました。さらにオープニング・イベント時は、芸工大の学生による 3日間限定のBarとして営業。局舎ではこれまでも地区のお年寄りによる「昔語り」やジャズコンサートなどが不定期でおこなわれてきましたが、ガラスの間仕切りと郵便窓口を、「Bar」のカウンターに見立てた若者たちの斬新な発想は、新たな活用方法の大きなヒントになりました。

[gallery ひじおりの灯] 
開廊期間=2008年7月13日[日]−8月20日[水]9:00−21:00
会場=旧肘折郵便局舎内

[Bar 郵便局]
オープン期間=2008年7月12日[土]−14日[月]18:00−22:00
企画・運営=建築・環境デザイン学科 竹内昌義研究室

[お茶道楽]
滞在期間=2008年7月13日[日]−7月下旬頃まで営業
営業場所=旧肘折郵便局舎前
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番場三雄准教授による一般対象のスケッチ旅行

番場三雄准教授による一般対象のスケッチ旅行

番場三雄准教授による一般対象のスケッチ旅行

古くからの伝統である湯治の形態を守っていくために、温泉客の長期逗留を促す新たな誘客プログラム(現代版湯治)の創出が急務ということで、『ひじおりの灯』の点灯期間中に、温泉に逗留しながらそれぞれの創作の時を楽しむ参加型プログラムが実施されました。山形在住の日本画家・番場三雄准教授の引率による1泊2日のスケッチ旅行は、東北芸術工科大学の社会人講座として一般から参加者を募り、山形県内から壮年層を中心に21名が参加。また、温泉街が最大の繁忙期を迎える秋には、旧郵便局舎のギャラリーで番場三雄准教授による素描展も開催されました。

開講日=2008年7月13日[日]−14日[月]
会場=肘折温泉
講師=番場三雄(東北芸術工科大学准教授)他、日本画コース卒業生
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子どもたちによる流し灯籠制作“肘折のふるさと灯ろう”

子どもたちによる流し灯籠制作“肘折のふるさと灯ろう”

子どもたちによる流し灯籠制作“肘折のふるさと灯ろう”

学校は地域にとってコミュニティーの中核的存在。折しも、肘折小中学校の閉校決定と時期を同じくしてはじまった『ひじおりの灯』は、地域の活性化を目的としたアート・イベントであると同時に、制作プログラムに参加する学生たちの地域学習の機会でもあるということで、2回目となった今年は、肘折小中学校の児童・生徒を対象に灯籠づくりのワークショップを開講しました。テーマを「肘折小中学校の思い出」とし、完成した『肘折小中学校の思い出灯ろう』は、肘折地区で毎年執り行われている精霊流しの夜に銅山川の川縁で披露されました。

開講日=2008年8月3日[日]10:00−17:00
精霊流し=2008年8月17日[日]19:00〜
ワークショップ会場=肘折センター(「上の湯」2階)
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古き良き湯治場を偲ぶ、「復刻絵葉書」の発行

古き良き湯治場を偲ぶ、「復刻絵葉書」の発行

古き良き湯治場を偲ぶ、「復刻絵葉書」の発行

「肘折らしい新たな土産物の開発を」という声に応え、東北芸術工科大学の民俗・考古・歴史研究機関である東北文化研究センターが収集・公開している膨大な絵葉書データベースを参照し、昭和初期に販売された肘折温泉の絵葉書と、いでゆ館が保管している古写真の一部を、「復刻絵葉書」として再生・販売することになりました。地蔵倉、石抱温泉、共同浴場上の湯などを撮影した白黒写真が、古色を帯びたまま温泉街の6枚組の絵葉書セットに収められています。撮影場所を示す場所に実際に立ち、温泉街の変遷を実感してみてはいかがでしょうか。

販売=肘折温泉商店組合
企画監修=赤坂憲雄
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ひじおりの灯07

ひじおりの灯07

ひじおりの灯07

2007年夏。肘折温泉の開湯1200年を祝う夏祭の期間中、23軒の旅館の軒先にオリジナルの灯籠が設置され、湯治場の夜を幻想的にライトアップしました。東北芸術工科大学日本画コースの大学院生と卒業生をスケッチ旅行に招き、地元産の手漉き和紙に絵を描いてもらい、庄内地方の伝統工芸『組子』の技術で組み上げた八角形の灯籠に貼り込み、『ひじおりの灯07』が完成。山形の伝統技能と芸工大の学生たちとのコラボレーション『ひじおりの灯』は、郷土の新しい伝統行事として、毎年夏のお盆の夜に、芸工大生による新しいその年の灯籠絵をまとい、古き良き温泉場の魅力を次代へと継承しています。

点灯期間=2007年7月13日[金]−8月20日[月] 18:30−21:00
会場=山形県大蔵村肘折温泉
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